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2018.11.20 Tuesday

相続の基礎知識(その13)〜預貯金の扱い

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    被相続人が生前金融機関に有していた預貯金は、相続開始後どのように扱われるのでしょうか?

     

    従前は実務においては、預貯金は可分債権と考えていたので、遺産分割とは別に個々の相続人に法定相続分の権利があるのだから、各金融機関に対して、個別に法定相続分に従って請求するように指導していました。そのため、その法定相続分に応じた金額を相続人に渡さない金融機関に対しては、個別に民事調停か裁判を起こして回収を図ることが当然のように行われていました。

     

    家庭裁判所においても、不動産の共有状態を解消するのが「遺産分割」調停・審判事件の役割と考えられており、預貯金だけで調停を申し込んでくる当事者に対しては、一貫して「親族関係調整」調停事件として一般調停事件として受け付けていました。遺産分割事件である別表第2事件(家事審判法当時は「乙類調停事件」)の特徴は、調停でまとまらなかった事件は審判に移行することです。一般調停事件の場合は、話し合いがまとまらなければそのまま終了となります。その意味では雲泥の差がありました。

     

    つまり、遺産分割事件の預貯金の扱いとして、相続人間で分割対象に含める合意があってはじめて分割の対象とすることができました。不動産の共有状態を解消するための調整役として機能してきた訳です。しかし、これまで特別受益(民法903条)や寄与分(民法904条の2)といった遺産分割の修正要素を加えることで公正な結論が導き出される事案においては、不都合な場合が多々ありました。そのため、これまでもこの不都合を解消させるための便法として損害賠償又は不当利得の返還というカタチで公平を図ることを示唆する事例はありました(最判平成16.4.20)。

     

    ところが、「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である」と判示して、判例変更が行われました(最大決平成28.12.19)。つまり、従来の預金債権は可分債権で個々の相続人は法定相続分に従って分割請求が可能という考えを改めて、普通預金は1個の債権として同一性を保ちながら常に残額は変動しているので被相続人が死亡した時点での残額が一定することがないという理由で可分性を否定し、定期預金については従前から一定の期間経過後でなければ払戻ができないことを理由に可分性を否定していました。したがって、いずれも単独での支払請求を否定しました。

     

    その結果、これまで遺産分割事件は家庭裁判所では不動産がないと受け付けていなかったのですが、この取扱いも改められることになりました。事件数としては未だ微々たるもののようですが、それでもこれほど扱いが180度転換する例は少ないように思います。

     

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