2019.08.02 Friday

行政書士制度(その6)〜観賞用家系図は、「事実証明文書」にあたるか?

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    平成22年12月20日の最高裁判決を受けて、日本行政書士連合会がHPにおいて、見解を発表していますので、この問題について考えて見ようと思います。

     

    平成22年の最高裁判決というのは、観賞用の家系図を行政書士でない者が作成して、報酬を得た場合に、行政書士法のいう「事実証明に関する文書」の作成に係る報酬を得たことで、行政書士の独占業務違反に問えるか否かという問題です。一審の札幌地裁網走支部と二審の札幌高裁は、行政書士法違反を認めていたのですが、最高裁で破棄され、無罪となった事件です。

     

    この最高裁判決においては、観賞用の家系図は、行政書士法にいう「事実証明に関する書類」にあたらないとうモノでした。家系図の作成は、戸籍・除籍の調査にとどまらず、古文書や古記録を調査し、ある程度専門的な判断を得て行われる作業で、行政書士は戸籍・除籍の調査に関しては専門職であっても、それを超えた調査に関しては特段能力が担保されているわけでないというのが、その理由でした。

     

    日本行政書士連合会の見解としては、今回の最高裁の判決は、「観賞用・記念用の家系図」は事実証明文書にはあたらないとしても、親族関係図等に関しても、無資格者が作成することができるかのように誤解されることを危惧します。もとより、遺産分割協議書を作成する際に法的に作成を要する親族関係図や相続関係説明図などの作成については、今回の判決と何ら関係がないと考えていることを表明しています。

     

    なお、被告人に職務上請求用紙を売り渡した行政書士については、行政書士法違反の共犯で、罰金刑が確定しています。

     

    一審・二審で行政書士法違反で問われ、最高裁でひっくり返るといったセンセーショナルな事案でしたが、職務上請求書を使用する以上は、行政書士として、不必要な範囲まで使用することは厳に慎まなければなりません。

     

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