2019.03.25 Monday

遺言の基礎知識(その14)〜換価分割

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    今回は、遺産分割方法の指定(民法908条)の一つである換価分割を指定した場合の典型例について、ご紹介します。

     

    第○○条 遺言者は、別紙財産目録中の不動産及び預貯金のうち,鯆甲法○に相続させる。

      2  遺言者は、前項の財産を除く全ての財産を換価し、その換価代金から必要経費を控除した残金を二男○○と長女○○に各2分の1の割合で相続させる。

     

    この条項は、長男が親といっしょに住んでいるような場合に、自宅や主要な預貯金を相続させて、その他の財産(株式や骨とう品など)を換価させた上で、他の相続人に分配する場合の典型例です。

     

    不動産を換価分割する場合は、被相続人名義の不動産を直接買主に移転登記することができないため、いったんは相続人に所有権を移転させた上で、買主に名義を移すことになります。従って、相続人間の協力が不可欠です。この場合には、遺言執行者を指定しておくと、手続がスムーズにいきます。

     

    子供らの間に格差が生じてしまう場合には、付言事項を利用して、理由を書くようにしましょう。また、遺留分にも配慮することが必要です。

     

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    2019.03.21 Thursday

    遺言の基礎知識(その13)〜特別受益の持ち戻しの免除

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      特別受益は原則として相続分に組み込まれますが、遺言によって、特別受益として相続分に組み込まないようにすることが出来ます。

      これを「特別受益の持ち戻しの免除」と呼んでいます(民法903条)。

       

      相続が開始して、相続人間でもめそうな場合は、遺言でこの規定を利用してみてはいかがでしょうか。

       

      (条項例)

      第○○条 遺言者は、長男○○に対し、別紙物件目録記載の土地を贈与しているが、特別受益の持ち戻しを免除し、この金額を相続財産に加算せず、長男○○の相続分から控除しない。

       

      第○○条 遺言者は、長女○○に対し、長女の結婚に際し、持参金として、金1000万円を贈与したが、特別受益の持ち戻しを免除し、この金額を相続財産に加算せず、長女○○の相続分から控除しない。

       

      第○○条 遺言者は、二男○○に対し、その生活費として、金500万円を援助してきたが、特別受益の持ち戻しを免除し、この金額を相続財産に加算せず、二男○○の相続分から控除しない。

       

      なお、改正相続法においては、2019年7月1日から、婚姻期間が20年以上の夫婦間にあっては、一方が居住用の建物又は敷地を贈与又は遺贈した場合は、特に明示していなくても、特別受益の持ち戻しが免除されることになりました(民法903条ぁ法

       

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      2019.03.18 Monday

      遺言の基礎知識(その12)〜特別受益の持ち戻し

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        遺言者が生前に、特定の相続人に対し、結婚や養子縁組に際して多額の援助をした場合や、生活費として多額の援助をした場合に、この金額を相続財産に組み込んで遺産分割をすることになります(民法903条)。これを「特別受益」と呼んでいます。この金額が相続分を超えてしまうと、相続分を受けることができません(民法903条◆法

         

        これは、遺産分割に際して、相続人間の不平等を是正する制度で、相続分の前渡しの意味を持つモノとされています。

         

        この金額については、まとまった金額ということが前提で、通常の結婚式の費用や学費、生活の援助では、扶養義務の範囲に含まれるため、あまり問題になりません。

         

        微妙な金額で、後の相続の際に揉めそうであれば、遺言書の付言事項を利用して、特別受益を考慮したうえで、この遺言を作ったことを明示しておきましょう。

         

        (付言事項の例)

         遺言者は、長女○○の結婚に際して、持参金として金1500万円を贈与しているので、これを特別受益として考慮して、この遺言書を作成した。

         遺言者は、長男○○に対し、会社の事業用資金として、金5000万円を贈与した。他の相続人には、このような援助をしていないので、今回の遺言については、このことを考慮して作成した。

         遺言者は、二男○○に対し、生活のための援助として、金500万円を出してきたので、この遺言については、このことを考慮の上で、遺言内容を考えた。

         

        特別受益を考慮したとしても、相続人の遺留分を侵害する場合には、やはり問題となることがありますので、この点も考慮願います。

         

        次回は、特別受益の持ち戻し免除について解説します。

         

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        2019.03.15 Friday

        遺言の基礎知識(その11)〜未分割の相続財産を「相続させる」旨の遺言

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          今回は、すでに相続は開始されているものの、遺産分割協議をしていないために、未分割の相続財産がある場合の条項です。

           

          第○○条 遺言者は、亡兄○○について遺言者が有する相続分を、遺言者の長男○○に相続させる。

           

          相続関係が複雑になりそうな時に、少しでもシンプルにして、不動産の承継先を決めていくために必要な条項です。不動産は、共有状態では使い勝手が悪いモノです。そのまま放置しておくと、さらに相続人が増えて、相続関係が複雑になります。これがいずれは空き家問題になり、「所有者不明」土地に発展していきます。

           

          そのようなことにならないように、早めに単独所有に切り替えて、処分しやすい状態にしておくことをお勧めします。

           

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          2019.03.11 Monday

          遺言の基礎知識(その10)〜換価分割

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            遺産分割方法の指定(民法908条)に関して、仝淑分割、代償分割、4慌訴割、ざνなどが考えられます。併せて、遺言では、相続分の指定(民法902条)をすることも出来ます。

             

            今回は、このうち、換価分割の条項を紹介します。

             

            第○○条 遺言者は、遺言者の有する下記土地建物を換価し、その換価金から必要経費を控除した残金を、長男○○、長女○○に各2分の1の割合で相続させる。

             

            最近は、不動産の他にはあまり財産のないケースも増えてきています。子どもたちが都会に出て行って、使い途がない不動産の場合は、この条項は有効です。

             

            これは、代償分割とは異なり、特定の相続人に特定の財産を取得させることなく、遺言執行者に売却を委ねる点に特徴があります。従って、遺言執行者の権限と遺言執行者を誰にするのかを、慎重に決めることが大切です。

             

            換価分割の場合、被相続人名義の不動産を売却先に直接、所有権の移転登記ができないため、いったんは相続人に所有権の移転登記を移した上で、売却先に移転登記をすることになります。その意味でも、全ての相続人の協力は不可欠です。

             

            * 換価分割の場合は、当該土地・建物が売れる物件かどうかも重要なポイントになります。いつまでも不安定な状況にしておくわけにもいきませんし、3年以内に売れないと、相続税と不動産譲渡税が二重にかかりますので、この点も考慮に入れておきましょう。

             

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            2019.03.08 Friday

            遺言の基礎知識(その9)〜将来取得する可能性のある財産を「相続させる」旨の遺言

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              相続は、必ずしも年齢が高い順に開始されるモノではありません。また、遺言が一般化されてくると、将来相続が開始した時点において、新たな不動産を取得していることもまれではなくなるでしょう。特に、子どものいない単身世帯が増えてきているご時世において、兄弟姉妹から、不動産を相続することは今後は増えてくるモノと思われます。

               

              今回は、このような事態が予想される場合の条項です。

               

              第○○条 遺言者が、遺言者の兄から下記不動産を相続していたときは、当該不動産を、遺言者の長男○○に相続させる。

               

              この条項は、相続人以外から「遺贈」を受けた場合にも適用できるのではないかと思います。将来的に、相続人がいない「おひとりさま」が増えている状況下では、それぞれに遺言で不動産の承継先を考えておく必要が今後はさらに必要となってくるでしょう。その際には、頭の片隅に入れておくべき条項かもしれません。

               

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              2019.03.04 Monday

              遺言の基礎知識(その8)〜複数の遺言執行者

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                遺言書を作成するにあたって、複数の遺言執行者を指定したい旨の相談を受けることがまれにあります。

                 

                遺言書で複数の遺言執行者を指定することはできるのでしょうか?

                 

                民法によると、「遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定することができます(民法1006条)。

                 

                また、「遺言執行者が数人ある場合は、その任務の執行は、過半数で決することになります。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うことになっています(民法1017条)。

                 

                つまり、複数人の遺言執行者を指定することはできるのですが、遺言に基づく執行にあたり、保存行為(現状のままの状態を維持させる行為)を除いては、過半数の同意を得なければならないため、意外と面倒になると言われています。二人の場合だと、一人が反対したり、協力が得られないとそこで中断してしまいます。

                 

                そのため、複数の遺言執行者を指定するのは、役割を分担させる場合、つまり「不動産はAに執行させ、預貯金はBに執行させる」とする場合や、順位を指定しておく場合、「Aが亡くなっているか、病気などで執行ができない場合はB」というような場合において、別段の意思表示をしておく場合が多いようです。

                 

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                2019.01.11 Friday

                遺言書を書こう!(15)〜「おひとりさま」の場合

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                  最近は、相続人が全くいない「おひとりさま」や、相続人がいたとしても、近くに住んでいない「おひとりさま」が増えてきました。

                   

                  不動産をお持ちの方は、自分の不動産の承継先を、その他の資産をお持ちの方は、亡くなった後の資産の承継先をしっかりと考えておく時代に入ったような気がします。ヒトの将来は、予測がつかないことが多いのも事実です。余裕を持ちつつ人生を謳歌するためにも、もしもの時に備えておくことも大切かと思います。ある程度の年齢、つまり60才に達していれば、何らかの準備は必要なのではないかと思います。

                   

                  そこで登場するのが、遺言です。特に、相続人のいない「おひとりさま」の場合は、何も対策を講じていなければ、全ての財産が国庫のものとなります。利害関係者から相続財産管理人の申立があればよいのですが、無ければ「空き家」問題につながり、さらには「所有者不明土地」問題へと続きます。

                   

                  また、「おひとりさま」の場合は、死後の事務を誰かに頼んでおく必要があります。「おひとりさま」の場合は、生前の契約の解除はもちろんのこと、自己の葬儀さえも自分ではできないからです。

                   

                  「おひとりさま」は自分の資産の承継先を、適正な判断がつくうちに考えておきましょう。そして、遺言を残すとともに、死後事務の委任契約をしておくと、安心です。

                   

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                  2019.01.07 Monday

                  遺言書を書こう!(14)〜不動産が主な遺産の場合

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                    最近は65才以上の高齢者の高齢化が進み、現在住んでいる土地・家屋以外にはとりたてて財産が無いという場合も増えてきました。

                     

                    この場合、予め遺言によって次の不動産の承継者を決めておかないと、場合によっては「空き家」問題へと発展して、やがて「所有者不明土地」となっていきます。

                     

                    都会において、売れる不動産であれば、売却してその代金を分け合うと言ったこともできるのですが、地方においては、売れない物件も増えてきています。特に古い建物の場合は、売却するためには更地にする必要があり、建物の取り壊し費用として150万円程度必要となります。さらに土地を売却するということになれば、土地の境界を定めるために測量が必要となり、数十万円の費用がかかります。不動産が「負動産」と言われる所以です。

                     

                    そのために、場合によっては不動産を受ける者に不動産を維持する費用を与えるか、不動産を受けない者に死亡保険金を与える等の何らかの対策が必要となるでしょう。

                     

                    「おひとりさま」が増えている昨今において、不動産の相続対策は急務であり、悩みは深いものと思います。

                     

                    不動産以外に資産が少ない場合こそ、遺言書で承継するヒトを指定しておいて、他の相続人に対する手当を考えましょう。

                     

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                    2019.01.04 Friday

                    遺言書を書こう!(13)〜相続人と付き合いがない場合

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                      相続の際に困ることとして、相続人がはっきりしない場合があります。生前につきあいの無い相続人がいる場合や行方の知れない相続人がいるような場合です。

                       

                      この場合、相続人を戸籍などから調査して確定し、所在も調査した上で、連絡を取り合うことになりますが、なかなか連絡がつかなかったり、連絡がついても協力してもらえなかったりと、面倒なケースが多いように思います。

                       

                      また、その相続人のうち、一人でも認知症に罹っているヒトがいた場合は、さらに厄介なことになります。程度にもよりますが、原則的には、家庭裁判所に成年後見の手続をとって、成年後見人に相続の話し合いに入ってもらって、遺産分割協議書を作るようになります。

                       

                      このような事態を避ける意味においても、財産を承継させるヒトが決まっているのであれば、遺言書を作っておくほうが賢明でしょう。

                       

                      相続人とつきあいがない場合や相続人の中で行方が分からないヒトがいるような場合は、相続対策として、遺言書を作っておくことをお勧めします。

                       

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