家族信託の現状
公正証書による家族信託(民事信託)の件数は、調査を始めた2018年1月から2021年6月までの間で、9444件でした。(9444件の内訳としては、信託契約;8936件、遺言;268件、信託宣言;240件)
2018年・・・2223件
2019年・・・2974件
2020年・・・2924件
2021年(1月〜6月)・・・1323件
〜 家族信託は必ずしも公正証書にしなければならないという性格のモノではないため、世の中には、これ以上の信託契約が存在しているものと思われます。
〜 コロナ禍にあって、この2年間は伸び悩んでいるというコトもいえそうですが、必要とされる契約だけにもっと普及させる必要はありそうです。
〜 金融機関も以前と比べて家族信託を受け入れるトコロが増えています。信託口の口座開設ができれば、もっと普及していくでしょう。
〜 裁判例は未だ少ないのですが、高齢者の財産を守ったり、精神疾患や引きこもりの子どもの財産を守っていくためには必要な契約なので、今後も増えていくコトが予想されます。
家族信託実務ガイド(第20号)〜事業承継対策に活かす家族信託
家族信託実務ガイド(第20号)が家族信託普及協会から送られてきたので、ご紹介します。
★ 信託契約公正証書の作成件数
1月〜6月 年間合計
平成30年 民事信託件数 1000件 2200件
平成31年 同 1200 3000
(令和元年)
令和2年 同 1400
* この3年間を見るかぎり、順調に民事信託の件数は増えています。
家族信託実務ガイド(第19号)〜金融機関の家族信託への取組み最新事情2020
家族信託実務ガイド(第19号)が家族信託普及協会から送られてきたので、ご紹介します。
2019年1月に行ったアンケートの結果は、本誌13号に掲載されています。今回は、2020年8月に行ったアンケートの結果を掲載しています。前回と比べて、家族信託に取り組んでいる金融機関は、約2.7倍に増加しているというコトです。
家族信託実務ガイド(第18号)〜高齢者を守る!財産トラブル回避策と信託の活用
家族信託実務ガイド(第18号)が家族信託普及協会から送られてきましたので、紹介します。
特集 高齢者を守る!財産トラブル回避策と信託の活用
<最近の高齢者被害>
・ 消費生活センターに持ち込まれた相談のうち、60才以上の高齢者の相談は、2018年度(2018年4月〜2019年3月)には43.5万件で、相談全体の49.4%を占め、人口比34.4%を併せ考えると、60才未満の2倍ということです。
<高齢者被害の具体例>
1 架空請求
2 オレオレ詐欺・還付金詐欺
3 「アポ電」〜公的機関や実在する企業名をかたり、家族構成や資産状況などを聞きだしたり、所在を確認するためにかける電話
4 次々販売・過量販売〜判断力の低下している高齢者に対して、高級羽毛ふとんや住宅リフォームなどの高額商品を次々に売りつけること
5 無料・格安・催眠商法〜地震や台風の後に、近所で修理工事をしているついでに無料で家屋の状況を見てあげると接近し、このままにしておくと大変なことになると脅して、高額の修理契約を結ぶこと
<財産トラブル回避策>
1 財産管理委任契約
〜 判断能力に問題はないが、身体的に問題がある場合に、代わって財産を管理してもらう契約
2 任意後見契約
〜 判断能力が不十分になった時に備えて、財産管理を任せるヒトを予め決めて、判断能力が低下したトキに財産管理を任せる契約
3 家族信託
〜 本人が元気なうちに、信頼のおける家族の一人に財産の管理や処分を任せる仕組み
4 法定後見制度
〜 判断能力が不十分なヒトを保護する制度。後見開始・保佐開始・補助開始と本人の残存能力に応じて三つのパターンがある。
5 日常生活自立支援事業
〜 社会福祉協議会が主体となり、社会福祉協議会が本人と契約して、通帳や印鑑を預かり、日常の金銭管理を援助するサービス。ただし、このサービスは、本人に契約する程度の判断能力が残っており、大きな金額を扱えないことが特徴。
家族信託のすすめ(その7)〜ひきこもり支援
「8050問題」で有名になった感がありますが、現在どれくらいの家族が「ひきこもり」のヒトと同居しているかご存じでしょうか?
2015年に内閣府が行った調査によると、15才〜39才の「ひきこもり」の数は、約54万人という調査結果が出ています。さらに、2019年3月29日の内閣府の発表によると、自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40才〜64才は、全国で約61万3000人ということなので、全年齢で見ていくと、ゆうに100万人を超えているという調査結果がでています。そのうち、7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めているというコトです。
「ひきこもり」の方は、必ずしも精神障害があるとはいえないため、成年後見制度による支援が受けられないケースがあります。その上、外部の人との接触がとれないために、財産管理が難しいといった実情があります。
そのため、「ひきこもり」の子どもを抱えている家庭では、「家族信託」による財産管理が有効です。委託者に親がなり、受託者に「ひきこもり」の兄弟姉妹がなることで、親が高齢のため、子の財産管理が難しくなったときでも、他の兄弟姉妹に財産管理を任せることができます。
「家族信託」にご興味のある方は、ヤマノ事務所までご一報ください。
家族信託のすすめ(その6)〜配偶者が認知症の場合
配偶者が認知症に罹患しているケースでは、後見人が付いている場合と後見人が付いていない場合が想定されます。
長男と同居しており、将来的には長男に全ての財産を相続させたいと考えたとします。配偶者に後見人が付いていない場合には、自分が亡くなってしまうと、相続で配偶者に財産が渡ったとしても、財産の管理を一人ではできないことが想定されます。配偶者に後見人がすでに付いている場合でも、遺言で「長男に全ての財産を相続させる」とした場合に、後見人としては、「遺留分の請求」を考えることになるでしょう。
このような場合では、予め委託者兼受益者を判断能力のある親とし、受託者を長男として、「家族信託」を組んでおくことも、将来の安心材料となります。二次受益者を判断能力のない配偶者として、最終的に両親が亡くなった時点で、管理を終了させて長男に残った財産を引き継がせることもできます。
相続が開始して、不動産が共有状態になると、不動産の運用は難しくなります。まして、空室の目立つアパートを売却しようとしても、後見人がついている場合は、裁判所での売却の許可は難しいと思われます。
元気なうちに、将来の財産管理を考えて、早めに対策を講じておくことが、安心の老後につながります。
「家族信託」を検討してもよいとお考えの方は、ヤマノ事務所にご一報ください。
家族信託のすすめ(その5)〜ペット信託
現在、高齢のAさんは夫が亡くなり、子どももいないために、家族の代わりにネコを飼っているのですが、将来、身体が不自由となったり、認知症になって、施設に入居したり、自分でペットを飼えなくなることが心配というケースです。
このような場合に頼りになるのが、「ペット信託」です。
この場合には、ネコ好きの親族又は知人を予め選んでおいて、自分がペットの世話がでなくなった時点で、効力を生じる「民事信託」を考えてはいかがでしょうか?
委託者兼第一次受益者Aさん、受託者をペット好きの親族(又は知人)Bさんとし、信託財産をペット(動産)と15年程度飼育できる金銭にして、第二次受益者をBさんとしておけば、Aさんが亡くなった後も引き続きBさんが信託財産を使って飼育できるので安心です。
知人Bさんの報酬は、予め渡しておくか、場合によっては、遺言で定めておくことも一つの手段だと思います。
家族信託のすすめ(その4)〜障害者の親族を支援
親族に障害者など自立での生活が困難な者がいる場合に、その方のために長期的に支援するには、「家族信託」を活用する方法があります。
高齢の両親と長男と二男がおり、二男に精神障害があり、現在も、将来的にも自己の財産管理が困難な場合には、父親を委託者とし、長男を受託者とし、受益者を二男としたスキームを組めば、長期的に二男に支援ができることになります。
両親が高齢のため、この先、障害のある二男の面倒を見続けることが困難な場合には、引き続き面倒を見てくれる親族、この場合は、長男か長男の子(孫)を信じて、託する方法があります。これを「家族信託」と呼んでいます。
「家族信託」にご興味のある方は、ヤマノ事務所にご一報ください。
家族信託のすすめ(その3)〜将来、実家を売却したい
最近は、地方に年老いた親が住み、都会に子どもが住んでいるケースが増えてきました。
将来的に、親が介護施設に入ったり、都会に住む子どもが地方に住む親を呼び寄せたりして、実家を売却しなければならないときのことを想定して、「家族信託」を組むモノです。
現時点では、父親が亡くなり、母親が一人で自宅に住んでいる場合、いずれは施設に入居するか、子どもの元で一緒に暮らす場合、この自宅が不要となる場合が予想されます。子どもは都会で自分の家があるため、いずれは、この実家は売却して、施設の費用等に充てなければならないと考えます。
いざ自宅不動産の売却が必要となった時に、母親が認知症などで、自分の判断能力が無くなっていると、自宅不動産を売却できません。そういったことを防ぐために、予め、長男や長女を受託者としておく「家族信託」は有効です。
母親を委託者兼受益者とし、子どもを受託者として、自宅不動産と金銭を信託財産としてスキームを組んでおけば、いざというときに、自宅を売却でき、その売却代金で施設の入居費用を支払うことができるため、安心です。
「家族信託」にご興味のある方は、ヤマノ事務所にご一報ください。
家族信託のすすめ(その2)〜認知症対策
2025年には65才以上の高齢者の5人に1人は認知症になっていると言われて、認知症はもはや誰もがなる可能性が高まっています。あなたは、将来、認知症になったときに財産の管理をお願いするヒトを決めていますか?
認知症になってからでは、判断能力に問題が生じるため、預金がおろせなくなったり、財産管理ができなくなる危険があります。そのため、心も身体も健全なうちに、「家族信託」を利用して、財産管理を信頼のおける子どもに任せることも選択肢の一つとして覚えておきましょう。実際に、「家族信託」を利用するヒトの7割がこの認知症対策として、「家族信託」を利用されているようです。
法制度としては、成年後見制度があるので、家庭裁判所を利用して、後見人をつけてもらうこともできるのですが、第三者後見人(弁護士・司法書士・社会福祉士など)の場合は、月2万円〜5万円程度の報酬が発生します。また、後見人制度が本人(被後見人)の財産の保護・保全を目的としているため、さまざまな制約を受けることがあります。
高齢になり、財産の管理に不安を感じたら、判断能力のあるうちに、自分の子どもに財産の管理を任せてることも考えても良いのではないでしょうか?そういった意味において、民事信託(家族信託)を選択肢に加えておくと良いでしょう。
「家族信託」にご興味のある方は、ヤマノ事務所にご一報ください。
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