2019.08.11 Sunday

「再転相続」における「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは?

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    令和元年8月9日に最高裁が「再転相続」の際に、「自己のために相続の開始があったことを知った時」の意味を、「親の死亡時」ではなく、「相続の事実を知った時」という解釈を明らかにしました。

     

    実務では当たり前のように再転相続の場合は、新たな相続人を基準として3か月以内であれば、相続放棄を受理しているのですが、今回の最高裁の決定は、この相続放棄の有効性を再認識させるものでした。

     

    このケースは、伯父から借金を相続した父親が、相続放棄をする前に亡くなってしまい、二次相続が発生し、新たな相続人である子が相続放棄をすることができる期限について争われていたものです。このケースでは父親が死亡した3年後に債権者から請求を受けたために問題が表面化したものと思われます。なお、伯父が亡くなった4か月後に父親が亡くなっているのですが、父親は、伯父の子らが相続放棄をしたため、自分に相続が生じていることは分からなかったと考えているようです。

     

    相続を放棄するためには、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に、相続放棄をしなければなりません(民法915条1項)。

    また、相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条1項の期間は、その者の相続人が「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算する(民法916条)とあります。

     

    従って、今回の最高裁判決というのは、「再転相続」における「自己のために相続の開始があったことを知った時」の意味をどのように解釈するかが問われたものでした。916条は、従来より915条の特例と考えられており、第一の相続人(本ケースの場合は父親)が3か月の熟慮期間中に承認も放棄もしないで亡くなった場合に、第二の相続(再転相続)の相続人が第一の相続を承認・放棄するかを決める熟慮期間は、相続人自身の「自己のために相続の開始があったことを知った時」と考えられています。これは父親の熟慮期間の残りを引き継いでしまうと、相続人にとって、熟慮期間があまりに短くなってしまうからです。

     

    今回の最高裁第二小法廷の判決では、「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、原則として、相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が相続人となった事実を知ったとき(昭和57年最高裁判例)を前提としつつ、民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、「相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいう」ものと解すべきとしました。

     

    つまり、本件の相続放棄の有効性を認めました。親族間の交流が減ってきており、近親者といっても財産の把握が難しくなっている今日において、きわめて常識的な線を打ち出したものといえます。

     

    ちなみに、伯父の相続放棄をした場合も、後に亡くなった父親の相続をする権利を失うことはありません。

     

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    2019.07.01 Monday

    本日より相続法が大きく変わります!

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      本日(令和元年7月1日)より、相続法が大きく変わります。本年1月13日から自筆証書遺言の方式の緩和はスタートしていましたが、原則的には、本日よりスタートします。今後も、配偶者居住権が令和2年4月1日より、法務局での自筆証書遺言の保管制度が令和2年7月10日からスタートします。

       

      原則として、本日以降に亡くなったヒトが対象となりますが、本日より前に亡くなっている方についても対象となる点は以下の点です。

       

       遺産分割前における預貯金債権の行使(附則5条)

        相続開始時の債権額の3分の1に各自の法定相続分を乗じた額で一つの金融機関につき最高150万円までは、遺産分割の協議前であっても、下ろすことができます(民法909条の2)。

       

      遺言執行者(附則8条)

        本日以後に遺言執行者になった者、つまり本日より前に亡くなったモノの遺言に遺言執行者の記載が無いか、あったとしても亡くなっていたり辞退したりした場合には、新たに家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうのですが、この場合は、新法(民法1007条2項、1012条)の適用を受けることになります。

       

      * 原則として、本日以降に亡くなった方が対象となるため、現実に恩恵を受けたり、問題が表面化するのは少し先になりそうです。超高齢社会になり、相続問題が複雑化する中で、ICTがどこまで進化していくのか不明ですが、誰もが気軽に相続と向き合って、次の世代に「空き家問題」や「所有者不明土地」を押しつけること無く、円満な承継が出来ることを祈るばかりです。

       

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      2019.01.13 Sunday

      自筆の遺言の方式が緩和されました!

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        本日より、自筆での遺言が書きやすくなりました。具体的には、財産目録をワープロで打って、自筆で書いた本文に添付できるようになります。

         

        これまでは、遺言書全文を自筆で書いておく必要がありました。一部でもワープロを用いた場合は方式に反するとして無効とされていました。今回の相続法の改正により、1月13日以降に作成する自筆証書遺言については、ワープロで打った財産目録を添付することで、有効な自筆証書遺言として認められることになりました。また、財産目録に代わるモノとして、不動産登記事項証明書や預貯金通帳の写しでもかまいません。(ただし、正確性を担保するために、各ページに遺言者の署名・押印が要求されます。)

         

        * 包括的に誰か1人に相続させる場合においても、相続財産を明らかにする上で、財産目録を添付しておけば、相続人は何が相続財産なのかを知ることができ、安心でしょう。まずは、毎年決まった日に財産目録を整理して、自筆証書遺言に添付した上で、2020年7月10日から始まる法務局での保管制度に備えることをお勧めします。

         

         

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        2019.01.06 Sunday

        民法(相続関係)改正法の施行期日について

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          法務省より、改正相続法の施行期日が発表されていましたのでお知らせします。

           

          1 自筆証書遺言の方式を緩和する方策・・・2019年1月13日(日)

           

          2 原則的な施行期日(1と3を除く)・・・2019年7月 1日(月)

           

          3 配偶者居住権及び配偶者短期居住権・・・2020年4月 1日(水)

           

          4 法務局における遺言書の保管等に関する法律・・・2020年7月10日(金)

           

          *  いよいよ改正相続法の施行が始まります。これからどのように相続関係が変わっていくのかを注意深く観察していこうと思います。

           

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          2018.07.06 Friday

          相続制度が大幅に改正されました!(民法改正法案が成立)

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            本日(2018年7月6日)、民法の相続編が改正されました。これは、配偶者の法定相続分が3分の1から2分の1に引き上げられたり、寄与分の制度を新設したり、兄弟姉妹の代襲相続人を一代限りにした昭和55年の改正から実に40ぶりの大幅な改正です。

             

            今回の改正では、配偶者の居住権保護遺産分割の見直し遺言制度の見直し遺留分制度の見直し相続の効力の見直し相続人以外の貢献の考慮が焦点となっていました。

             

            なかでも、配偶者を亡くした高齢者(おひとりさま)の居住権保護と遺言制度の見直し(遺言書の様式や保管制度)は実務に直結する改正だけに丁寧に解説していこうと思います。

             

            その後、2018年7月13日に公布された関係で、原則は、「公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日」となっていますが、の自筆証書遺言の方式緩和が平成31年1月13日に施行となります。,鉢の自筆証書遺言の保管制度については、「公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日」に施行されます。つまり、効力が発生する日が改正箇所について異なっていますので、注意が必要です。

             

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            2018.06.13 Wednesday

            改正民法成立〜成人年齢18歳に

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              本日(平成30年6月13日)、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が成立しました。一方、女性の婚姻年齢は現行の16歳から18歳に引き上げられ、男女ともに18歳となります。また、飲酒・喫煙については、現行の20歳が維持されているとのことです。この改正部分は、2022年4月1日から施行されます。

               

              従来の民法によると、20才未満の未成年者の法律行為は、法定代理人(親)の同意を得ていないときは取り消すことができました。これが改正されて、18才未満の未成年者に限定されることになります。つまり、18才、19才の者は未成年者ではなくなり、単独で法律行為ができることになります。つまり、ローンの契約やクレジットを18才、19才の者は、自由に組むことが出来るようになります。

               

              学校教育の中で、ローン契約やクレジットといったマネー教育も取り入れていれば、それほど問題にはならないのかもしれませんが、

              リボルビング払いなどの複雑で高利な分割支払いの意味をよく知らずにクレジットを組む者も多く、いつまでたっても支払いが終わらないといったことがないか危惧されます。経済的な強者は弱者を食い物にするのが世の常なので、やはり心配です。若いうちにいろいろと失敗を積んで経験するという考え方もあろうかと思いますが、現代の世知辛い世の中で、あまりに無防備なまま、社会的に一人前にみなしてしまうのはどうかと思います。

               

              自分の身を守るためにも、経済の仕組みを勉強して、マネーについての知識をつけましょう。

               

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              2018.06.08 Friday

              法定相続情報証明制度について

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                法定相続情報証明制度が発足して、1年が経過しました。

                 

                法務局宇部支局の状況を見る限り、それほど利用が伸びていないように思います。法務省としては、平成28年3月以降、相続登記の手続きの見直しを行い、以前は数次相続の際に,相続人調査の添付資料や遺産分割協議書の表記に厳しかったことへの反省から、相続登記の簡素化に取り組んでいるようですが、それでも未だ30年から50年と言った旧名義の土地が残っており、これが所有者不明土地や空き地問題に拍車をかけています。

                 

                わたしの経験から言えば、数次相続が生じている場合には、この制度のメリットはあまりないように思います。それぞれの被相続人毎に戸籍が必要になり、出生時からの戸籍が厳格に要求されるため、逆に時間を要しているのではないかと思いました。特に被相続人1歳から15歳くらいの戸籍というのは、認知も養子縁組も考える必要もなく、相続人が増える心配はありません。いったい何のために必要なのかを疑ってしまいます。また、現在の日本人で120歳を越える人は現存せず、どう考えても、この年齢を超えている人についてまで、死亡の記載を求めるのはどうかと思います。

                 

                ただし、不動産以外の預貯金が数多くある遺産の名義変更には、この制度は有効です。早急に多くの預貯金や株式等の名義変更を実現させるためには、証明書を複数発行してもらうことで、同時進行がはかれるため、便利です。

                 

                相続人を確定させるために、戸籍を早く取り寄せたい、戸籍が複雑でどのように戸籍をみたらよいのか分からないという方がおられましたら、遠慮なくヤマノ事務所までご一報ください。

                 

                 

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                2018.06.07 Thursday

                所有者不明土地、特措法が成立

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                  所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案は、平成30年6月6日に成立しました。

                   

                  「所有者不明土地」の利用を促進するため、公園や広場、駐車場など公共目的での利用を最長10年間認めるというものです。これは、市町村や民間企業、NPO法人などが所有者の分からない土地の利用を希望する場合に、一定の公共性が認められた場合に、都道府県知事の許可を得て、最長10年間の利用権を設定するというものです。当面は、この法律により、空き地の有効利用が図られると思われますが、あくまでも一時的な措置でしかありません。むしろ、国の行政機関の長が所有者不明土地につき、適切な管理を必要とする際に、不在者財産管理人の選任(民法25条 砲篩蠡該盪佐浜人の選任(民法952条 砲鮴禅瓩垢襪海箸できるとしたことに意味があります(特措法38条)。この規定により、国や地方公共団体に利害関係を広く認めることで、財産管理人の選任を請求し易くすることで、裁判所の監督下で、空き地の管理が容易になります。ただし、所有者不明土地がすでに私有地の2割を超えて、総面積が九州よりも広くなっている現状において、日本の国土をどのようにして保全していくのかという抜本的な問題の解決には結びつきません。

                   

                  今後、相続登記の義務化や土地の所有権放棄の制度の新設を議論するということですが、現行民法の根幹に関わるものだけに慎重な議論が必要となり、容易に解決するとは思えません。

                   

                  所有者不明土地を少なくしていくためには、現在使っている所有者が、亡くなった後の土地の承継者を生前に見つけて、きちんと遺言書で相続または遺贈していく他に手立てはありません。人口減少社会となった現在、各人が所有者不明土地を増やさない努力をしていくことがまず求められているように思います。

                   

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                  2018.05.25 Friday

                  相続税対策の養子縁組は有効

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                    従来から、相続税対策として、法定相続人を増やすことで、基礎控除額や生命保険金の非課税枠を増やすために、養子縁組を行うことは実務でも多く行われてきました。
                    この節税目的の養子縁組の有効・無効を巡って、最高裁判所が平成29年1月31日に初の判断を示しましたので、ご紹介します。
                    最高裁は、「節税目的の養子縁組であっても、ただちに無効とはいえない」とする判断を示し、従来の慣行を維持しました。被相続人が孫等を養子縁組をするに際し、節税を意識することはあっても、「養子縁組の意思」そのものがあれば、理由はともあれ、養子縁組を有効と判断しました。
                    実務上も、養子縁組をするにあたっては、事業の承継者を明確にしたり、娘の夫や孫と養子縁組をして、特定の家族に多くの財産を残したいと考えていたりする場合もあり、ケース毎に様々な要因を含んでいる場合が多いように思います。
                    ただし、現行法上、相続税の基礎控除額の算定等にあたって考慮される養子の数には制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までで、これを超える養子縁組がなされている場合は、相続税の算定の際には考慮がされないので、注意をしてください。
                    2018.05.25 Friday

                    預貯金、遺産分割の対象になる

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                      これまで裁判所の実務において、預貯金は可分債権であり、当然に法定相続分にしたがって分割ができることから、遺産分割の対象から外され、不動産を分割する際の不公平を調整するため、当事者の合意を得て、遺産分割の調停・審判に活用されてきました。
                      最高裁は平成28年12月19日の大法廷決定で、「預貯金は現金と同様に、法律に定められた割合に縛られずに家事審判ができる」との判断を示し、従来の判例を変更して、預貯金も遺産分割の対象であることを認めました。
                      これにより、今後は、家庭裁判所としては、従来預貯金のみでは「親族関係調整」調停として、一般調停事件としてのみ受け付けてきた扱いを改め、遺産が預貯金のみであっても、遺産分割事件として、別表第二事件として受け付け、審判となった場合は、生前贈与(特別受益)の有無の判断等を余儀なくされます。場合によっては、寄与分の申立を受けた上で、寄与分も併せて判断をするようになるでしょう。
                      また従来柔軟に対応してきた金融機関にあっても、今後は全ての相続人に同意を求めるようになり、預貯金であっても個別の対応が難しくなってくることが予想されます。
                      このような相続を巡るトラブルを未然に防ぐ意味においても、遺言書の活用を考えてはいかがでしょうか?
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